長年、私の絵を見て、好いてくださっていた方が、亡くなってしまいました。
私より若い方で、突然のことでした。

自分の絵を見てくださる方がひとり、いなくなってしまって、
その「ひとり」の、いかに大きいことかと思いました。
そのひとの形に、世界に穴があいてしまいました。

おこがましいようですが、
彼は私の絵をほんとうに気に入ってくれていました。
好きだなと思う絵がこの世界に存在するというのは
すてきなことです。
わたしのようなものに、
そんなすてきなことができると
教えてもらったのです。
彼から自信をたくさんもらいました。

お知らせをいただいて動揺し、泣きました。
しばらくして、おっとはわたしに、

「よく思い出してあげなさい。」

と、何度か言いました。

「死んでしまったひとは、
のこされたひとの心の中の、
残像にしかならないのだから。」

と。

だから、時たま会ったときの会話や、
依頼してもらった絵を見せたときの反応や、
もらった絵はがきに書かれた字体や、
一度だけふうちゃんに会ってもらった時のことなどを、
こまごまと思い出しました。

すこし変わっていて、とてもいい文章を書く、いい人でした。

彼とわたしをつないでくれたのはわたしの絵だったんだよなとも思いました。
これからも絵を描いていこう、と思いました。

わたしは洋楽に疎く、彼は音楽にとてもくわしかったので、
洋楽初心者なんですけど、おすすめのアーティストっていますか?と聞いたことがあります。
これからはそのバンドの曲を聴いたら、彼のことを思いだすだろうと思います。